2016年9月30日金曜日

プロの料理人が駄菓子を調理する 3

最終的に豚バラ肉でぐるぐる巻きに
 そして、豚肉で巻かれたビッグカツは、フライパンの上でジュージュー焼かれはじめた。なんと数奇な運命をたどったビッグカツだろう(豚肉も)。
ものすごい存在感、しかもこの中にビッグカツ入ってるんだぜ
豚肉を焼いたいい香りが部屋の中に充満した頃、盛りつけられた皿が運ばれてきた。
豚肉とビッグカツのミルフィーユ  
見た目で分かる。これは間違いなくうまそうだ。まわりのソースを聞くと、たまたま家にあったワインジャムと、たまたま家にあった梅酢を合わせてつくったものだという。なんだその偶然の産物!
ひと口食べて、もうこれはふつうにメインで出てきて何の疑いもなく満足できる一品だと思った。豚肉とビッグカツでボリュームは文句ないし、甘酸っぱいソースと中から出てくるビッグカツのソースが合わさって絶妙な味わいになる。
しかしビッグカツってこう、歯を食いしばって噛み切るイメージがあるのだけど、これは何の違和感もなく食べられた。シェフによると、肉に挟んで焼くと、肉から出る水分でビッグカツが柔らかくなるのだそう。そこまで見越してのミルフィーユだったのだ。

いやプロってすごいね。

これはすごい体験をした(ビッグカツもすごい体験だったと思う)

 

デザートはミニコーラがアクセントに

最後はデザート。さすがにミニコーラ単品ではどうしようもないので、シェフが麩菓子と鈴カステラを買ってきていた(1ページ目最後の写真参照)。

キッチンを覗くと、小枝を砕いて溶かし、そこに砕いたミニコーラを表面に貼りつけた鈴カステラを入れてチョコレートを絡めるという、非常に手間のかかった作業をしていた。
砕いたミニコーラを埋め込んだ鈴カステラ
溶かした小枝を絡めると、小枝の中のアーモンドなどもコーティングされる。小枝、やるな!

そうこうするうちにデザートが完成。お皿が運ばれてきた。
 

 麩菓子のフレンチトーストと鈴カステラのトリュフ仕立て
麩菓子はなんとフレンチトーストになっていた。周囲がパリパリ、中がトロッとしていてパイみたいだった。洋菓子なのに和菓子の味で新鮮!

鈴カステラのトリュフ仕立ては、鈴カステラがものすごく高級品に変貌!ときどきミニコーラが出てくるピリッとしたアクセントもいい。溶かした小枝にオリーブオイルで風味づけをするという小技も効いている。 

 というわけで、プロの料理人に駄菓子で料理を作ってもらった。何というか、食べ慣れた駄菓子が跡形もなく変貌する姿に笑ったし、しかし予想もつかない味に変わって目の前に現れるのにも驚いた。

結論としては「プロってすごいね」という小学生並の感想でまとめたい(駄菓子だけに)。




萩原雅紀(はぎわらまさき) 1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。 個人サイト:ダムサイト 

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